5月末に日米共同声明発表へ 普天間の辺野古移設を明記(朝日新聞)

日米両政府は、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題で、移設先を同県名護市辺野古周辺と明記した共同声明を取りまとめる方向で最終調整に入ったことがわかった。鳩山由紀夫首相が決着期限としている5月末に、両国の外務・防衛担当4閣僚(2プラス2)の合意として発表する方針だ。

 28日にも、首相が記者会見する方向で調整している。

 声明には、辺野古沿岸部を埋め立てる現行案を前提に進められてきた環境影響評価(アセスメント)のやり直しはしない方針も盛り込む方向で調整している。2014年までに移設を完了する計画を遅らせたくない米側の強い意向があるためだ。

 具体的な工法については触れない方向だが、新たなアセス無しでは、現行案では2本の滑走路を1本にしたり、建設場所を数十メートル程度沖合にずらしたりといった微修正しかできない見通しだ。「最低でも県外」と訴えてきた鳩山首相政治責任が厳しく問われることは必至で、県外移設を主張する社民党も強く反発すると見られる。日米合意について、閣議決定閣議了解などの手続きを取れない可能性もある。

 首相は、辺野古周辺を埋め立てる現行計画を「自然への冒涜(ぼうとく)」と強く批判。そのため日本側は海底に数千本のくいを打ち、その上に1800メートル規模の滑走路1本を建設する「くい打ち桟橋方式」を、米側に提案してきた。

 しかし、桟橋方式は、規模が大きい場合、新たなアセスが必要となる。さらに、強度に不安があり、水中に爆弾を仕掛けるなどのテロ攻撃に弱いとして米側が難色を示しており、実現は困難だ。
このため鳩山政権内では、公共工事などで海に流れ込んだ赤土などによるヘドロを掘り返して埋め立てに使う構想が浮上。周辺の海洋環境を再生させた上で、埋め立て地内に水路を造り、サンゴ礁や藻場の定着などを促進して環境への配慮を示す構想で、アセスのやり直しの必要がなければ、今後の選択肢として検討されると見られる。政府関係者によると、首相もこの案に関心を示しているという。

 声明には、沖縄の負担軽減策として、海兵隊の訓練の県外移転についても盛り込む。ただし、鹿児島県・徳之島などの具体的な移転先の地名は書き込まない方向だ。地元の同意が得られる見通しが立たないためと見られる。

 声明では、海兵隊をはじめとする在沖縄米軍の抑止力の重要性について確認。現行案に盛り込まれている在沖縄海兵隊約8600人とその家族のグアム移転を進めていく方針も改めて明記する。

 21日の岡田克也外相とクリントン国務長官との会談では、実務者間の協議を続けていくことを確認。来週以降も断続的に協議を続け、最終的な声明を固める見通しだ。(伊藤宏)
http://www.asahi.com/politics/update/0519/TKY201005190459_01.html