支持率の急回復に沸く民主党 「売られたケンカは買う」党内抗争の兆し
 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査などで、民主党への支持率が急回復したことで同党議員が沸いた7日、新執行部の船出となる両院議員総会小沢一郎前幹事長の姿はなかった。菅直人新首相が「脱小沢」路線を明確にしたことへの不満の表れともとれ、党内抗争が始まることが明瞭になった。

 小沢氏の総会欠席は「所用のため間に合わない」との理由からだった。総会会場の後ろに陣取った小沢グループの議員らは枝野幸男新幹事長のあいさつにも拍手せず、冷ややかな視線を送るだけだった。

 小沢氏側近の高嶋良充参院幹事長は菅新首相らがガンバロー三唱をする際に、壇上にのぼるのを渋り、枝野氏に促されてようやく加わるありさまだった。 

 小沢執行部で副幹事長だった1人は「枝野さんは細野豪志幹事長代理以外の『副幹』切りをねらってる。売られたケンカは買うよ」と言い放った。

 執行部人事では枝野氏のほか安住淳選挙対策委員長小宮山洋子財務委員長ら、これまで小沢氏の党運営に批判的な立場をとってきた議員が選ばれた。小沢グループが「反転攻勢の拠点だ」と位置づけるのが国会対策委員会(国対)だ。

 郵政改革法案など重要法案の成否をにぎる国対は、小沢氏に近い中堅・若手が支援した樽床伸二氏が委員長に就任したほかは、三井弁雄(わきお)委員長代理や松木謙公(けんこう)筆頭副委員長ら小沢執行部時代の面々が残留した。

 郵政法案をめぐっては、菅氏周辺から「会期延長はするが、強行採決は望ましくないというのが菅新首相の考えだ。郵政法案は廃案で秋の臨時国会で仕切り直しだ」との声が出ている。

 支持率回復に気をよくした参院民主党からも16日が会期末の今国会を延長せず、参院選を「6月24日公示、7月11日投開票」とする早期選挙論が出ている。

 菅新首相と輿石東参院議員会長は7日に会談したが、輿石氏は早期選挙論を説明したとみられる。

 会期を延長しなければ、国民新党が求める郵政改革法案の今国会成立は絶望的だ。国民新党は法案の今国会での成立を求めており、廃案に反発するのは必至だ。

 閣僚人事でも官房長官に内定した仙谷由人氏が、筒井信隆衆院農水委員長と海江田万里選挙対策委員長代理に、それぞれ外務副大臣、財務副大臣を打診したが拒否された。両氏ともに入閣候補と取りざたされたにもかかわらず、“格下げ”となることへの不満があったようだ。

 枝野氏は7日の会見や民放テレビ番組の出演で、小沢氏の国会招致には消極的な姿勢を示したうえで「小沢氏に引き継ぎのためお会いいただける方向で調整してもらっている」と述べた。だが、小沢氏がいまだに会談に応じていないことを暗に認めたもので、両者の深い溝をうかがわせた。(榊原智)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100608/stt1006080202011-n1.htm