普天間・徳之島移設「白紙撤回」を要求 民主鹿児島 蚊帳の外

米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題で、民主党鹿児島県連は19日、鳩山由紀夫首相に徳之島案の「白紙撤回」を申し入れた。首相が移設案の決定期限を5月に設定する最終盤での“意見具申”。ただ県連は「反対ではない」としており、近づく参院選を意識した政治的な思惑もうかがえる。県連にも寄せられている「移設話は実際、どういう状況になっているのか」といった徳之島や県内の不満の声は解消できそうにない。

 県連が17日夜、鹿児島市で開いた非公開の臨時常任幹事会。直後に開いた記者会見で代表の川内博史衆院議員は「政府から何らの正式な情報提供がなく報道先行。手続きに疑問を感じる」と、政府の“地元軽視”を強調した。

 一方で「反対ではなく白紙撤回」「機関決定ではない」「政府に逆行ではなく、鳩山内閣へのお手伝い」と反旗を否定。しかも「万一、政府が本当に徳之島移設を考えているのであれば」との前提付きで慎重に言葉を選んだ。

 徳之島への移設話は、民主党牧野聖修衆院議員が1月下旬以降、公言している。なのに川内代表は「牧野議員は親しいので本当なのかと確かめたが、全く教えてもらえなかった」「総理にも何回も会ったが言及はなかった」「私たち(の持っている情報は)は報道ベース」と話した。だとすれば、地元の与党議員が全くの蚊帳の外に置かれていたか、政府からの信頼がないということになる。

 川内代表は記者会見で「徳之島移設案は白紙撤回し、在日米軍の再編後、国内にどの程度の人数が残るのかなどを調べた上で、政府が日本中の首長に沖縄以外の移設先を提案すればいい」とも述べた。当然、首相が言う5月期限に間に合うのか疑問が生じるが「どういう部隊がどんな訓練をするのか、それがあれば結論は早いはず」「あと1カ月半ある」とも語った。

 普天間飛行場の返還に日米両政府が合意した1996年12月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告から13年半。それが今なお実現していない、という「現実」を認識していないかのような発言だった。
=2010/04/20付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/166463