普天間移設 首相「腹案」の波紋 閣僚の受け止め方に相違

2010年4月4日
米軍普天間飛行場移設に関し、鳩山由紀夫首相が3月31日の党首討論で述べた「腹案」の内容をめぐって波紋が広がっている。首相は「腹案」は関係閣僚で共有しているとし、4月2日夜も記者団に「関係閣僚は『腹案』の下で動いている」と重ねて強調した。だが「腹案」の受け止め方は閣僚によってさまざまだ。
 「どんなものなのか」。1日の上京を前に明確な回答を聞き出そうと意気込んでいた仲井真弘多知事だったが、平野博文官房長官北沢俊美防衛相、前原誠司沖縄担当相と相次いでの面談後は「『腹案』って本当にあるのか。皆言うことがばらばらで」と困惑気味だ。「腹案」の意味は、心の中で考えておく案や考えのことで、言葉通りだと首相自身にこれまで表に出ていない案があるかのようにとらえられる。
 しかし各閣僚は基本的に3月23日に関係5閣僚で話し合った政府の「考え方」と受け止める。それを「腹案」だとした首相自らの説明が無いことも混乱を生んでいる。
 前原氏は4月2日の閣議後会見で「5閣僚で話をしたときの中身を言っていると思う」と発言。北沢氏は同日午前の閣議後会見で「(3月)23日に官房長官が報告した複数のオプションを統合して米側、地元と交渉するという基本線のことと理解している」と述べていた。だが、午後、知事との会談後の会見では「最後の落としどころに総理自身のイメージがある」とも述べ、含みを残した。
 政府の「考え方」はキャンプ・シュワブ陸上案、勝連案、徳之島(鹿児島)を軸にした案とみられているが、党首討論での首相発言も憶測を呼んでいる要因だ。
 「全国の皆さま方にその負担を分かち合うという思いを共有してほしい」「(現行案は)地元の皆さまの本当の意味での同意が取り付けられていなかったために、無理だ(と判断した)」「(『腹案』は沖縄の負担軽減などで)現行案と同等かそれ以上の効果のある、認めてもらえる案だ」
 関係省の官僚から「何かウルトラCがあるのか」「今まで出てきた以上の案があるとは思えない」との声が上がる。結局、シュワブ陸上や勝連沖案などが「腹案」ということなら、県民の理解を得るのは難しそうだ。(宮城久緒)
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